■マッチ軸木の等級と製造方法
原料
原木は白楊等の日本材と外国材のアスペンがある。
日本材は、長さ182cm以上末口10cm以上(これ以下だと歩留まりが極めて悪い)、節は182cmの中で6cm以上のものが5個以上ないこと。
外国産アスペンは通常長くて太いので規格に適合している。
原木玉切り
原木を約42cmの長さに吊り丸鋸で玉切りする。このとき原木素材にある大節と腐朽部分を切除する。玉切りした素材を「コロ」と称する。
素地剥き
玉切り「コロ」を手斧で皮剥作業上弊害となる節と木瘤を切除する。
皮剥ぎ(せんのような道具)で土砂その他が付着する表皮を「コロ」の木質部まで剥皮し、
さらに木質部に砂礫または伐採作業中の釘の折れ等鉄片がないかどうか点検しあればこれを完全に除去する。
この「コロ」を軸剥機にセットして、軸木の太さと同じ厚み(今は2.2ミリ)にベニヤ状に剥く。
「コロ」が直径55ミリになったとき軸剥きを終了してこの「コロ」をはずす。その残存コロを「芯子」という。
撰板
素地剥き作業で生産された剥板(ベニヤ)を上軸、込軸、の等級毎に撰板する。
上軸は色白で無節のもの、込軸はそれ以外但し直径3cm迄の節の混入は認める。
この剥板を長さ1m80cmに裁断し10cmの高さ・約50枚を積み重ねる。
軸刻
剥板の積板を軸刻機の裁台に乗せ上端を押さえ刻作業をする。刻作業とは包丁状の刃が上下し軸木の太さの間隔寸法に送り出した積板を裁断する。
その時5cm毎に罫引ナイフが入り5cm×2.2ミリ角の生軸木が出来る。
乾燥
未乾燥軸木を熱風乾燥機のコンベアの上に置きでこぼこのないようにならし通す。出来た軸木の含水率は12.5%以下とする。
乾燥軸木を太軸選別機にかけ規格外の軸木を取り除き軸木置場へダクトで送る。
等級
軸木の等級には上軸と込軸がある。上軸は並型に込軸は徳用型に使用していた。(因みに上込無選別の軸木をグルムキという)。
この他に最上級の軸木があった。それは昔、宮内省献上の銀桜マッチに使用する軸木で、
この軸木は剥板を重ねないで1枚のまま刻んだ、そのため軸木の断面・輪郭がきれいに正方形となった。
日本最後の製軸工場であった岩手県の且R崎木材店が平成13年に軸木の生産を止めてから既に13年が経った。
軸木の知識もうすれてきたので、ここに軸木の作り方を記すものである。
マッチ軸木の概論については「マッチ棒になる木」を参照してください。
参考文献
昭和40年代の日産農林工業株式会社生穂工場製軸部(現兼松日産農林株式会社淡路工場)の社内規格・作業標準による。
黒田 康敬
2014年06月20日