■マッチと犯罪事件
3〜4年に一度くらいは各地の警察署から問い合わせがあった。
犯人の遺留品におたくのマッチがあった、どこで売っているか、というもので犯人のマッチ購入場所を特定したい、とくに放火犯という訳ではない。
残念ながら全国のコンビニエンスストアで売っているのでどうにも特定の役には立たない。
中でも記憶に残っているのは有楽町マリオンの放火事件
有楽町の日劇の跡地に有楽町マリオンができて有楽町西武百貨店がオープンしたのが1984年10月、私どもが防水マッチを発売したのが1986年2月だから1986年頃のことと思う。
有楽町マリオン(有楽町センタービル)の管理室から電話があり「おたくのマッチが放火に使われたのでちょっと来てほしい」すぐに出掛けていくと、現場は有楽町西武百貨店の非常階段で1階と2階くらいの間に焼け焦げた紙くずと防水マッチの4個パックが開封され散らばっている。
管理室に戻り、やはりこのマッチはどこで売られているかという質問で、銀座で売っている店の心当たりは無くはないが店に面倒をかけてはうまくないので、よく分からないと答えていた。
するとそこへ消防署の人が戻ってきて「火事なのにどうして警察が先に来ていたんだ!」とどえらい剣幕で怒り始めた。
ビルの管理人いわく「目の前に交番があるんだからとりあえず駆け込んだまでだ」と消防と警察(火消しと八丁堀)の現場到着の順番で激論になった。
火事が大したことなかったのでこんな縄張りで揉めるんだなあと感じ入ったことである。
そこで私は管理人に「あの〜私は帰ってよろしいでしょうか」と訪ねると、まだいたのかという調子で「ああいいよ」と言うのですぐに失礼した次第であった。
黒田 康敬
2026年03月26日