■サルファレスマッチ・頭薬成分に硫黄を含まないマッチ
昭和47年特許番号654038
出願 昭和43年11月30日
出願人 日産農林工業株式会社
発明者 同上 燐寸部研究室 鈴木松樹
硫黄は、発火の激しさを緩和し炎を大きくするものとして、
マッチの頭薬には必ず使用されるものであった。
昭和40年当時、公害問題が深刻であったので、同社はこれに取り組み、
亜硫酸ガスを出す硫黄なしで燃焼させる、画期的な技術を世界にさきがけて発明した。
そして亜硫酸ガスを発生しないサルファレスマッチ「ニューライト」として発売した。
昭和62年特許期間満了にともない一般化した。
平成17年現在市販されているマッチは、
硫黄を含まないか、入っていても少量のものがほとんどである。
硫黄を入れないので「亜硫酸ガスが出ません」とマッチ箱に表示して売っていたところ、
公正取引委員会から、微量の亜硫酸ガスは発生するので表示が不正確である、と指摘を受けた。
その後「亜硫酸ガスがほとんど出ません」という迫力のない表示がしばらくなされていた。
公正取引委員会の指摘は、硫黄を入れないことが、
亜硫酸ガスが出ないこととイコールではないということである。
どんな物質、例えば人参、ジャガイモにも硫黄分は含まれており、
これを燃やせば微量の亜硫酸ガスは発生するのだから不正確だというものである。
言われてみればそのとおりで、安易にエコをうたうと世間の要求が一段と厳しくなるという教訓でもある。
サルファレスマッチの弱点としては、硫黄を入れないので、初期燃焼温度が上がらないためか、
煤の発生が多いことである。
昭和40年頃のマッチ使用量は1人で1日8本、平成17年は5人で1日1本という状況であり、
マッチは趣味品(CDに対するレコードのようなもの)となったためか、鼻にツンとくる
(亜硫酸ガスの出る)マッチが欲しいというお客様もいらして、
さもありなんと思う。
黒田 康敬
2005年11月25日