■マッチラベルの話 その5
「月琴」……明治33年5月21日登録、三井物産合名会社・直木燐寸社。
海外のマッチ市場を組織的に開発したのが、この両社である。
この「月琴」は、香港、上海、マニラ、カルカッタ市場を占有し、一つのラベルとしての輸出数量の更新記録を達成している。その後もフィリピンにおいて30年間にわたり絶対的な信用を維持してきたが、昭和5年に現地で模造品が出まわった。そのラベルは、「直木燐寸社」を合併し、「日本燐寸製造社」を傘下にした「大同燐寸」が現地より委嘱され日本で印刷していたことが判明、「三井物産」と「大同燐寸」の係争となり世間を騒がせた。
なお、この「月琴」は、現在でもフィリピンにおいて三井のマークを削除して販売されている。
黒田 康敬
2002年04月01日