■マッチの頭が赤い理由
現在日本で市販されているマッチの軸の先の頭薬の色は80%が赤い色をしています。
赤以外は黒、茶、ピンク等があります。
ヨーロッパでは茶色が多く、アメリカは赤と青が一般に見られます。
日本では昭和20年までは黒頭が一般的でした。
明治末から大正時代にマッチの生産量の80%を輸出していましたが、その輸出先が中国、インド方面で、湿度が高いため、耐湿性能を向上させるために重クロム酸カリと二酸化マンガンを頭薬に混ぜました。その結果、色が黒っぽくなり、松煙を入れて更に真黒にしました。相対的に軸の色も白く見えるわけです。
ところが第2次大戦中、物資不足で良質の原材料がなく、その時作った黒頭のマッチに発火不良が目立ったため、その後良質原材料で作ったものを赤頭にして、品質の信用を回復しました。
それが今日まで続いて赤い色の頭が多いのです。
また現在の黒い頭には重クロム酸カリは入っておりません(毒物であるので)。
広告マッチは箱のデザインとの相性から、一般に白頭を使うのが一般的です。
染料・顔料を混ぜることによって何色でも作ることは可能ですが、ロットが大きいため最近ではあまり特殊な色は見かけません。
黒田 康敬
1999年10月21日